ULは2020年7月、三重県伊勢市に建機向けのEMC試験棟「大型モビリティ試験棟」を新たに稼働させました(プレスリリース)。「大型モビリティ試験棟」の大型電波暗室は、第三者機関として建機の利用が可能な暗室仕様を満たす国内最大規模の特別仕様の電波暗室です。本暗室の仕様範囲内であれば、建機に限らず、自動車、フォークリフト、クレーン、バス、トラック、電車、大型農機、小型飛行機等のEMC試験対応も可能です。
大型モビリティ試験棟の特徴
- 建設機器などの大型機器向け日本最大規模のEMC試験棟
- 高い技術的専門性と最新規格対応の試験能力
- 信頼のパートナーとして多方面でのコンプライアンス対応を支援
大型機器を取り巻く規制環境
建設機械向けの最新EMC規格EN ISO 13766-1, 2:2018 が、2021年に強制化されます。EUでは、上市する建設機械に対してEU整合法令への適合と機械へのCEマーキングの表示を要求しています。現行の2014/30 EU EMC指令の整合規格「EN 13309:2010」は置き換えが進められており、2021年には最新規格である「EN ISO 13766-1,2:2018」が強制化される予定です。この強制化により、EMCで要求される放射イミュニティの上限周波数が拡大し、新たに建機本体に対して電波照射*が求められるようになります。またEUだけでなく、南アフリカでも同様に建機の完成品に対するEMC試験が要求事項として規定されています。
大型機器向け電波暗室
建設機械、フォークリフト、バスなどの大型機器を収容し、EMC試験を行うことのできる特別仕様の電波暗室です。1500平方メートルの組み立てエリア、パーキングエリアなど、大型機器の特殊なニーズにも対応しており、ISO/IEC 17025認定を受けています。建設機械など様々な製品に対して、スムーズな試験準備及び実施をサポートします。
電波暗室内寸: | 縦17.9 m×横23.0 m×高さ11.0m |
電波暗室扉: | 幅8m×高さ8m (スライド式段差無) |
暗室内耐荷重: | 100トン |
電源容量: | 最大400 V 200 A |
対応周波数: | 20-1000MHz 100 V/m 1-2GHz 30 V/m、2-2.4GHz 10 V/m、2.4-2.7GHz 5 V/m |
その他: | 暗室前組立エリア(30×50 m)、排ガス設備、ガス検知器、遠隔非常停止システム、装置固定フック、天井クレーン (3 t未満)、 |
同試験棟には、小型電波暗室も一基併設しており、部品に対するEMC試験も実施することができます。詳細スペックは下記パンフレットをご覧ください。
対応規格
新設備では、各種EMC試験が対応可能です。他にも車載機器EMC試験を多数実施可能ですので、詳しくはお問合せください。
- EN ISO 13766-1/-2 建設機械EMC(新)
- EN 13309 建設機械EMC(旧)
- JIS A 8316-1/-2 国内建設機械EMC
- ISO 11451-1 車両イミュニティ共通
- ISO 11451-2 車両放射イミュニティ(ALSE)
- ISO 11451-4 車両BCI
- ISO 11452-1 部品イミュニティ共通
- ISO 11452-2 部品放射イミュニティ(ALSE)
- ISO 11452-4 部品BCI
- ISO 10605 車両 / 部品 静電気
- CISPR 12 車両エミッション
- CISPR 25 部品エミッション
- ECE Regulation No.10 自動車国際規制EMC
- ISO 14982 農・林・造園・園芸用機械向けEMC
- ISO 7176-21 電動車いすEMC
- EN 50498 アフターマーケット品EMC
- EN 12895 フォークリフトEMC
その他コンプライアンス対応を支援
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- 無線搭載機器は、日本を含む約140か国/地域で製造・上市・利用に電波法が制定されています。各国電波法認証取得・認可申請を代行します。
- EMCはもちろん、ワイヤレス、バッテリー、信頼性試験などに関しても、最新の設備と技術的専門性を活かし、新しいシステムや技術革新に応じて常に変化している法的規制や基準へのコンプライアンスをサポートします。