Explore all of ul.com

前編ではリチウムイオン蓄電池の仕組みと熱暴走のプロセスについて確認をしました。今回の記事では、不具合が起こる根本的な原因と、安全なバッテリーシステムへのアプローチを検討していきます。

 

不具合が起こる根本的な原因

リチウムイオン蓄電池を利用した製品において、熱暴走の潜在的なリスクがあることは前回の記事で述べてきました。しかし、消費者に対して販売される製品の安全性が損なわれてはなりません。市場で不具合が起こる本当の原因は、リチウムイオン蓄電池自体にあるのではなく、以下の2つにあると考えられます。

  1. 通常の部品として使用してしまう。
    リチウムイオン蓄電池はその性質上他の部品と異なることを認識し、安全に利用できる限度を把握し、適切な品質要件を設定した上で利用されるべきです。
  2. 最悪の事態を考慮しない。
    起こり得る不具合のメカニズムについて利用前に情報を収集し、シミュレート及び対策をする必要があります。不具合を最小化するような構造設計をしなくてはなりません。

 

安全なバッテリーシステムへのアプローチ

では上記の根本的な原因を踏まえ、安全なリチウムイオン蓄電池利用製品を設計、製造する上で効果的なアプローチは考えられるでしょうか?
現在、リチウムイオン蓄電池の安全規格においても、蓄電池とシステム両方に関して安全性が考慮され、機能安全の評価、ワースト条件での不具合最小化が基準として検討、採用されています。
例として、エネルギー貯蔵システムの熱暴走の伝播と重大度の評価を行うUL 9540Aは、最悪の事態である熱暴走シナリオの評価を行い、消火システム設計のための情報を提供するなど、稼働環境を含めたシステム全体の安全を考慮して策定されています。
それらを背景に、安全なバッテリーシステムへのアプローチとして、以下のような考え方にまとめることができます。

  • 事実の直視:
    通常の大多数の部品とは異なり、リチウムイオン蓄電池に潜在的な安全上のリスクがあることは事実です。そのことを考慮した上で、設計前に特性を理解し、安全な作動限界、起こり得る不具合のメカニズムと重大度を確認します。
  • 適切な要件設定:
    リスクは、不具合の発生確率と、発生時の重大度の2つの方面から考えられます。品質の観点から適切な要件設定をすることは、不具合が起こる可能性を軽減します。セル設計の観点からの要件設定は、不具合の重大度を軽減できます。
  • アプリケーション側に対する徹底した安全設計:
    リチウムイオン蓄電池を使用する製品は、不具合モードの設計が不可欠です。不具合モードは複数のレイヤからなる不具合最小化の方策を持つよう、システムを構築することが理想的です。

このような点を反映していくことで、より安全で利便性の高いリチウムイオン蓄電池の使用を実現できると考えられます。安全な作動限界の確認や適切な要件設定を行うために、第三者機関による評価を利用することも可能です。次回の記事では、その種類と試験内容についてご紹介します。

本記事に関するお問い合わせはこちら

業界・製品

バッテリー

Share