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リチウムイオン蓄電池セルの使用環境に関する試験は、通常使用時のものと、予見可能な誤使用時のものに分けることができます。これらは消費者が製品を使用する際の安全性に直接影響を与えるため、日本では電気用品安全法により試験の要求があります。

 

電気用品安全法 電気用品の技術基準の解釈 別表第九:リチウムイオン蓄電池

電気用品安全法でのリチウムイオン蓄電池セルに関する要求事項は、表1のようになっています。通常使用における安全性の部分では、正常な使用の範囲内で起こる連続充電や、運搬時の振動、温度の変化に曝されたとき、発火、破裂、漏液しないことが確認されます。予見可能な誤使用における安全性では、落下、圧壊、異物混入による内部短絡などの異常が起こった際に、使用者に被害をもたらすような発火や破裂がないことが確認されます。

 表1

日本だけでなく、国際的にもリチウムイオン蓄電池セルに対する試験・認証は行われており、代表的には以下のような規格が制定されております。

<国際>
IEC 62133 リチウム・ニッケルバッテリーセル/パックを含む密閉形小形二次バッテリー
IEC 62281 リチウム一次及び二次バッテリーセル/パックの輸送中の安全性
IEC 62619 産業機器用リチウム二次バッテリーセル/パック
UN 38.3 国連輸送試験

<米国>
UL 1642 リチウム一次・二次バッテリーセル
UL 1973 定置用、車両用補助電源用、及び軽鉄道用大型バッテリー
UL 2580 電動車両用バッテリー…など

 

使用環境に関する試験例

リチウムイオン蓄電池セルに対する具体的な試験について、いくつか特徴的なものをピックアップしながら紹介します。

  • 連続定電圧充電試験(Continuous charging at constant voltage) IEC 62133
    この試験では長期間充電環境に置かれた場合の安全性を確認します。試験方法として、満充電の電池を7日間充電し続け、異常の有無を確認します。充電は製造者が指定する条件にて行います。
  • 温度サイクル試験(Temperature cycling test) UL 1642
    温度変化による異常が発生しないことを確認する試験です。電池を70℃から-40℃の間の温度サイクルに10回曝します。サイクル後、20±5 ºCの環境下で最低24時間放置します。電池が発火、破裂、ベント及び漏液しないことを確認します。
  • 内部短絡試験(Forced internal short-circuit) 電気用品安全法 電気用品の技術基準の解釈 別表第九
    この試験は、製造時に電池内に導電性の異物が混入し内部で局部的な短絡が発生した場合を想定して実施します。電池を分解し、内部にニッケル小片を挿入した状態で加圧します。発火しないことが判定基準となります。
  • 圧壊試験(Crush test) IEC 62133
    重量物の下敷きになった場合に、異常が発生しないことを確認する試験です。電池を平板の間に挟み、13 kNの力で押しつぶします。電池が発火、破裂しないことが求められます。
  • 発射体試験(Projectile test) UL 1642
    直接火炎に曝される場合を想定した試験です。電池が燃焼した際に、燃えカスなどの飛散により危険な状態にならないことを確認することを目的としています。周囲をワイヤスクリーンで囲まれたテーブルに試験対象を設置し、テーブルセンターの穴からバーナーで着火、燃え尽きるまで継続します。ワイヤスクリーンを突き破るような爆発がないことを確認します。

 

他にも、外部短絡、過充電、釘差しなど、様々な使用環境を想定した試験がリチウムイオン蓄電池セルに対して実施されることがあります。

近年では、規格に基づく試験のみならず、製造メーカーは規格を引用しながら、規格よりも厳しい基準で独自の試験を行うことも一般的となってきました。こういった過酷試験は、より一層の製品の安全性の確保だけでなく、他社製品との差別化を図る上でも効果的な手法と言えます。

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