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本記事では、リチウムイオン蓄電池のセル(単電池)に対する品質の観点からの要件設定や、安全な作動限界の確認をサポートするULが提供可能な試験の一例をピックアップしてご紹介します。前編では品質に関して、後編では使用環境における作動限界の確認試験について述べていきたいと思います。

リチウムイオン蓄電池セルの品質を損なう要素は主に、異物混入、電極の巻きずれ、電極及びセパレーター自体の欠陥等があります。それらを確認する試験として、一例を以下にあげます。

  1. X線 CT(CTスキャンによる内部構造調査)
  2. Tear-Down Analysis(電池分解)
  3. Customized Sampling Test(カスタム抜き取り試験)

 

CTによる内部構造調査

本試験では、X線透視撮影・X線 CTによるリチウムイオン蓄電池の内部の確認を行います。「非破壊試験」となりますので、部材損傷を最小限にとどめながら実施することができます。スキャン画像をもとに主に下記のような異常がないかを確認します。
・電極の巻きずれ(アライメント)
・電極の不具合(例:欠損、破れ)
・異物混入など

上記において異常が認められる場合、不具合が発生するリスクがあると考えられます。特に内部短絡が要因となって発生する熱暴走に関しては、異物の混入によるものが考えられるため、安全対策が求められています。

 

Tear-Down Analysis(電池分解)

実際にセルを分解し、目視及びサンプルを採取して実施する試験となります。試験の手順として、下記の通り行います。

  1. 完全放電又は、満充電状態のサンプルを準備
  2. エンクロージャーの切り取り
  3. 捲回体を解体
  4. 目視での構造確認及びサンプルの採取

X線 CTと同じポイントに注意しながら目視による確認を行いますが、CTでは反映されない電極の異常、タブ溶接の不具合、保護テープなどを重点的に確認します。追加で材料に対して解析を行う場合は、この工程でサンプルを採取します。

 

Customized Sampling Test(カスタム抜き取り試験)

カスタム抜き取り試験は、製造工場または市場において、リチウムイオン蓄電池の予期された品質が保たれているかを確認する役割を果たします。ランダムに抜き取りを行ったあと、上記のX線 CTによる内部構造検査及びTear-Down Analysisにて品質確認を行います。また、次回の記事にて紹介する外部短絡や過充電等の使用環境における試験を組み合わせるなど、ニーズに応じた試験・検査を実施することで継続的な品質の維持をサポートします。

メーカーの工程管理の一部に組み込まれることも多くありますが、組み立て工場で定期的に抜き取り試験(検査)を行うことは、品質管理及び改善を行う上で有効な手段として考えられています。トレーサビリティの確保の観点で、部品または材料のロットに対する抜き取り試験もあります。加えて、海外販売などの理由でサプライチェーンが複雑になる場合は、ターゲット市場で対象製品をランダムに購入し試験を実施することで、実際に消費者に販売される製品に対しても、品質の維持ができているかどうかの確認を行うことも可能です。

リチウムイオン蓄電池のセルを製造するメーカーは、製造工程管理の観点から、製造環境の構築及び異物の混入がないこと等を確認するといった、品質を維持するための対策をこれまでも実施しています。様々な品質維持の努力を確認する上で、上記のような試験プログラムは安全なリチウムイオン蓄電池の製造に寄与するのではないかと考えています。

次回は、使用環境に関する試験についてご紹介します。

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